写真展

2024年8月 9日 (金)

写真展「今森光彦の地球昆虫紀行」 富士フィルムフォトサロン大阪 7/25

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7月25日は本町の富士フィルムフォトサロンで開催中だった写真展「今森光彦の地球昆虫紀行」を見てきました。

昆虫記で有名なアンリ・ファーブルの生誕200年記念としての企画写真展だということです。

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今森光彦さんは世界の熱帯雨林、砂漠から、国内の自然環境まで、自然と人との関わりをテーマに美しい映像で伝える写真家です。

写真だけではなく、手前にあるのは紙で作られた昆虫の模型です。

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面白い形態の昆虫の写真が集められています。

それぞれの名前は覚えていませんが、その面白さを最大限発揮するポーズをしっかりととらえています。

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左の3枚組の写真はいわゆる素数ゼミです。別に素数の問題を扱うゼミナールではありませんが。

ものすごい数のセミが群がっています、素数ゼミはその存在を聞いたことがありますが、写真で見るとそのインパクトはすごいものです。

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ツノゼミという種類のセミです。

ツノがある分、顔の表情が豊かになります。

このような面白い昆虫写真展が、夏休み半ばで終わってしまうのはもったいないですね。

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宮部みゆき よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続 角川文庫/読了・・・・・・・江戸神田の袋物屋・三島屋の次男、小旦那の富次郎が従兄弟のおちかの後をとって百物語の聞き捨て、語り捨てを行っているという設定のシリーズもの。大変面白くて、かみしめるように読み進めて、一日100~150ページを読んでも4日間かかりました。とても充実した読書期間でしたね。書名の「よって件のごとし」は小松左京の「件」になぞらえた作品かと思っていたら、そうでもなかったので新鮮でした。わかるかなぁ?

2024年7月25日 (木)

鈴木啓公写真展「鉄道のカタチ」 キャノンギャラリー 7/10

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7月10日は、中之島のキャノンギャラリーで開催中の鈴木啓公写真展「鉄道のカタチ」を見てきました。

鉄道車両や施設にある様々なカタチを追い求めた新鮮なアプローチの写真展でした。

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あぁ、なるほど、あれやなぁ

関東のほうを走る高級リゾート列車だよね。

まだ見たことないけどなぁ。

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これは新しい西武電車の特急、その窓ではないだろうか。

黄色い座席の背面、どんな車両についているのかな。

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おや、これは新幹線の幌、すき間なく繋ぐことで騒音の防止になっているんだ。

0系新幹線の座席の背面、面白い切り取り方だけど、保存車両で撮ったのかな。

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こちらは関西、南海空港特急の丸い窓。

そして、近鉄大和西大寺駅構内のぐちゃぐちゃ線路、これもカタチ?

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その他いろいろなカタチにこだわった写真が数多く並んでいました。

中には、?もありましたが、こういうカタチを探すのも面白いですね。

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おや、これも新幹線の座席シートなんだろうね、面白い。

色合いから東北新幹線E5系、カタチというよりデザインからイメージを伝える作品ですね。

「カタチから次のイメージを想起させる」という条件をもっと厳しく限定すれば、もっとレベルの高い写真展になったでしょうね。

2024年7月15日 (月)

そういえば行ってました「ヴォーリズ建築写真展」 関西学院博物館 7/8

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7月8日は、関西学院へ行って博物館で開催中の「ヴォーリズ建築写真展」を見てきました。

関西学院の中には何回か入ったことがありますが、こんなに奥まで来たことは入試(落ちたけど)以来でした。

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作品は写真家の桃井一至さんが撮影したもので、各地にあるヴォーリズ事務所が関わった建築物の写真が20点ほど並んでいました。

建築物として全体を捉えた作品のほか、その一部だけを切り取った画像など、建物がある場所の雰囲気が伝わるものでした。

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また、写真として掲示できなかった作品はスライドショーとして流されていました。

暑い暑い平日の昼間でしたが、お客さんも数名来られていて熱心に見入っておられました。

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是もヴォーリズ建築のひとつである博物館の玄関ロビーです。

なかなか凝った造りで、こういう建築物が大学の中にあるのはいいですね。

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その博物館をゴジラが襲うという設定のジオラマ模型がありました。

これはもう、受け狙いでしょうね。

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帰りに撮った関西学院の博物館というか、時計台です。

広々とした芝生、背景に甲山がそびえるという、関学の代表的な風景です。

2024年7月 5日 (金)

私の写真展「鉄道万葉集」その2から (ラスト)

今から1300年前、万葉の時代の旅は徒歩でした。その道はできるだけ勾配も緩く、そしてまっすぐに延びる古代の道でした。

鉄道の黎明期、線路を敷いた路線もなるべく緩い勾配とまっすぐなルートを選んだため、万葉の時代と重なる風景が今に伝えられています。

そんな風景の中にみる「鉄道万葉集」を追いかけてみました。

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明石大門(あかしおおと) 山陽電車 霞ヶ丘駅 五色塚古墳上

ともしびの 明石大門に 入らむ日や 漕ぎわかれなむ 家のあたり見ず 柿本人麻呂 巻3-254

(ともしびの明るい明石海峡に入っていく日に、漕ぎ別れてゆくのだろうか、大和にある家のあたりを見ずに)

兵庫県最大の全長194mの前方後円墳である五色塚古墳は、4世紀末-5世紀初頭(古墳時代中期)頃の築造と推定されています。

撮影地は五色塚古墳の前方部の先端で、明石海峡に突き出した丘の上になります。

17時で門が閉まるこの古墳上から明石海峡に沈む夕日を撮影できるのは11月後半から1月半ばまでの間しかありません。

夕陽の撮影の向うこと数度、ようやく2019年の晩秋に撮影出来ました。

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有間山(ありまやま) 阪急今津線宝塚南口駅 宝塚大橋

しなが鳥 猪名野を来れば 有間山 夕霧立ちぬ 宿りなくて 作者不詳 巻7-1140

(しなが鳥が連れ飛ぶ猪名野を進んで来ると、有間山には夕方の霧が立っている。宿る所もなくて)

猪名野は、今の阪神間、海が内陸に入り込んでいたことから、主に、尼崎市北部、伊丹市、西宮市、宝塚市にまたがる広野と解釈されます。

猪名野と有間山は旅の風景としてセットで読まれることが多いテーマです。

有間山は特定されておらず、猪名野から有間の方向に見える山と言う程度です。

撮影した宝塚大橋を渡ると、宝塚音楽学校、宝塚大劇場へと向かう華やかな道が続きます。

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竜田川 (たつたがわ) 近鉄生駒線 元山上口駅北方

我が行きは 七日は過ぎじ 竜田彦 ゆめこの花を 風にな散らし 高橋虫麻呂歌集 巻9-1748

(われわれの旅は七日以上にはなるまい。だから龍田彦よ、けっしてこの花を風に散らすな)

竜田川というと、在原業平の「ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」が有名ですが、万葉とは時代が異なります。

高橋虫麻呂は、旅先の歌、また伝聞を歌にすることが多く、想像の世界を歌で描いていたりします。この歌もそういう旅先の歌のひとつでしょうか。

龍田川のこの蛇行した淵には竜が住むという伝説があり、古くから水の神・龍神を祀る信仰があったと伝わり、撮影地の下流側では勧請綱掛けが行われています。

 

私の写真展には、期間中50人ものお知り合いの方々、古い友人、何年振りかとなる懐かしい友、そして、この写真展を開催するから毎年お会いできるお友達の皆さんにお越しいただき、拙作の撮影に費やした苦労も吹っ飛ぶ喜びを得られたことは何にも代えがたい財産となりました。

2024年7月 4日 (木)

私の写真展「鉄道万葉集」その2から

今から1300年前、万葉の時代の旅は徒歩でした。その道はできるだけ勾配も緩く、そしてまっすぐに延びる古代の道でした。

鉄道の黎明期、線路を敷いた路線もなるべく緩い勾配とまっすぐなルートを選んだため、万葉の時代と重なる風景が今に伝えられています。

そんな風景の中にみる「鉄道万葉集」を追いかけてみました。

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平群(へぐり)の山(矢田丘陵) JR関西線 三郷駅 大和川左岸の高台

八田の野の 浅茅色付く 愛発山 峰の沫雪 寒く降るらし 作者不詳 巻10-2331

(八田の野の浅茅が黄葉しはじめた。あの有乳山は峯の沫雪が冷たく降っているらしい)

有乳(あらち)山は、滋賀県と福井県にまたがる古来の愛発(あらち)の関があったところ。

奈良の矢田の山では黄葉が始まったけど、有乳山ではどうだろうと思いをはせています。

JR三郷駅から南の方向を見ると、高台の上に新興住宅街が立ち並んでいるのが見えました。

坂道と階段を苦労して登っていくと、平群の里を一望できる絶景と出会いました。

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武庫川 (むこがわ) 東海道線(JR神戸線)武庫川橋梁

武庫川の、水脈を早みと、赤駒の 足掻くたぎちに、濡れにけるかも 作者不詳 巻7-1141

(武庫川の水の流れが早いからと赤駒が足掻く水しぶきに、わたしは濡れてしまったことよ)

武庫川は、兵庫県中東部の篠山市から流れ出て、宝塚市付近を経由して西宮市で大阪湾に流れこんでいます。

武庫川には南と北に2ヶ所の渡しがありました。

ひとつは「西新田の渡し」で、大坂から尼崎を経て西宮へ向かう中国道(浜街道)で、現在の西宮市小松町あたりを渡っていました。

もうひとつは「髭(ひげ)」の渡し」で、京から昆陽(伊丹市)経て西宮へ向かう山陽道、西国街道で、西宮市里山町あたりを渡っていました。

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眉山(びざん) JR牟岐線 阿波富田駅 富田川橋梁

眉のごと 雲居に見ゆる 阿波の山 かけて漕ぐ船 泊知らずも 船王 巻6-998

(雲遠く眉のように見える阿波の山を目ざして漕いでゆく船が、どこに泊るかを知らぬことよ)

船王(ふなのおおきみ)は、天武天皇の孫のひとり。父の舎人親王は天武の息子として最後まで生き残った皇子。兄は孝元女帝に疎まれ、不遇の下に歿した第47代淳仁天皇。

この歌は天平6年、聖武天皇が難波宮へ行幸されたときに船王が随行して作った歌とも言われており、実際には見えない風景を詠んでいるようです。

この歌の「眉のごと」から、なだらかな稜線を持つ眉山の名前のもとになったといわれています。

2024年7月 3日 (水)

私の写真展「鉄道万葉集」その2から

今から1300年前、万葉の時代の旅は徒歩でした。その道はできるだけ勾配も緩く、そしてまっすぐに延びる古代の道でした。

鉄道の黎明期、線路を敷いた路線もなるべく緩い勾配とまっすぐなルートを選んだため、万葉の時代と重なる風景が今に伝えられています。

そんな風景の中にみる「鉄道万葉集」を追いかけてみました。

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須磨 (すま) ロープウェイ須磨浦公園山上駅展望台

須磨人の 海辺常去らず 焼く塩の 辛き恋をも 吾はするかも 平群郎女 巻17-3932

(須磨の海人(あま)がいつも海辺に焼く塩の如き、辛い恋をも私はすることです)

須磨を詠んだ万葉歌は3首だけですが、いずれも「塩」つくりに関わりのある歌です。

歌に出てくる「塩焼き」は「藻塩焼き」と言われ、ホンダワラやアマモなどの海藻に海水を注いで干したものを焼いて水に溶かし、その上澄みを煮詰めて塩を作ったとのことです。

須磨浦山上遊園へは山陽電車須磨浦公園駅からロープウェイ、そして日本一乗り心地が悪いといわれるカーレーターに乗っていきました。

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射行相(いきあい) の坂 近鉄大阪線 大和川橋梁 玉手山3号墳

い行き逢ひの 坂の麓に 咲きををる 桜の花を 見せむ児もがも 高橋虫麻呂歌集 巻9-1752

(竜田にある行きあいの国境の坂の麓に、咲きあふれている桜の花を見せるような子がほしいな)

難波から大和川沿いに飛鳥へ向かう道として龍田道、渋河道があり、大和川の北側にある低山を越える射行相の坂は今も残っています。

撮影場所の玉手山3号墳は、3世紀後半の築造、古墳時代最初期の前方後円墳です。この古墳の大きさは墳丘長110mと推定されています。

玉手山3号墳は別名「勝負山古墳」といわれ、大坂夏の陣で伊達正宗らの徳川軍がこのあたりで後藤又兵衛を打ち破ったことに由来しています。

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島熊山(しまくまやま) 大阪モノレール小路駅から東方を望む

玉かつま 島熊山の 夕暮れに ひとりか君が 山道越ゆらむ   作者未詳 巻12-3193

(島熊山の夕暮れ時に、一人さびしく、あの方はその山道を越えておられるのであろうか)

千里を詠んだ歌の中でも最も古いとされる一首。

撮影地近くの豊中不動尊には、歌人の安田青風の揮毫による万葉歌碑が建立されています。

島熊山を一望できるところを探していましたが、大阪モノレールの小路駅にやってくると、モノレールの線路の向こうに島熊山が一望できました。

ひとりさびしく超えた山道は、今ではモノレールだけでなく、無数の車が行きかう車道と化していました。

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植松三十里 梅と水仙 PHP文芸文庫/読了・・・・・・何ともタイミングの良いことか、本日発行の新紙幣の5000円札にその肖像が採用された津田梅子の生誕から、いよいよ後の津田塾大学の創設を決意するまでの前半生を、父親の津田仙との葛藤を中心に描いています。幕臣であった父親の仙も頑張っていますが、6歳で渡米して11年間を彼の地で過ごした津田梅子の心の葛藤もすさまじいものがあったようです。とても心にしみる一冊、さすがの植松三十里でした。

2024年7月 2日 (火)

私の写真展「鉄道万葉集」その2から

今から1300年前、万葉の時代の旅は徒歩でした。その道はできるだけ勾配も緩く、そしてまっすぐに延びる古代の道でした。

鉄道の黎明期、線路を敷いた路線もなるべく緩い勾配とまっすぐなルートを選んだため、万葉の時代と重なる風景が今に伝えられています。

そんな風景の中にみる「鉄道万葉集」を追いかけてみました。

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三輪山(みわやま) 万葉まほろば線 巻向駅南方

味酒  三輪の祝の  山照らす 秋の黄葉の  散らまく惜しも 長屋王 巻8-1517

(味酒三輪の神官がまもる山を輝かせている秋の黄葉が、散ってしまうのが惜しいことよ)

長屋王(ながやおほ)は、臣下の最高位である左大臣まで昇進しましたが、その後、謀反の罪で一族ともども自害に追い込まれるなど、悲劇的な最期を迎えた人物です。

長屋王がこの歌を詠んだ頃にはそんな自分が辿る将来の悲劇を想像もしていなかったのでしょうけれど、黄葉の散ってゆく様に人生の郷愁が重なって見えて心に響いてくる一首です。

撮影した場所は、背後に卑弥呼の墓とも言われる箸墓がある古代が息づくところでした。

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高師浜(たかしのはま) 南海高師浜線 高師浜駅 高石神社

大伴の 高師の浜の 松が根を 枕き寝れど 家し偲はゆ 置始東人 巻1-66

(高師の浜の松の根を枕にして寝ていても、思い出されるのは家に残してきた妻のことだ)

この歌は持統天皇の難波の宮行幸に従駕した置始東人(おきそめのあづまひと)が詠んだ一首。

高師浜は、現在の大阪府堺市南部から高石市一帯にあった浜ですが、工業化と海浜部の埋め立てが進み、その様子を見ることができるのは内陸となってしまった高石神社と浜寺公園の松林に求めるほかありません。

南海高師浜線は、南海本線羽衣駅付近での連続立体交差事業に伴って全線休止となっていましたが、今年46日より営業を再開しました。

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初瀬川 (はつせがわ) 近鉄大阪線 大和朝倉駅東方

岩走り 激ち流るる 初瀬川 絶ゆることなく またも来て見む 紀鹿人 巻6-991

(岩の上を走りほとばしっては流れる泊瀬川よ、絶え間なくまた来ては見よう)

「籠もよ、み籠持ち、掘串もよ、み掘串持ち、この岳に菜摘ます兒、家聞かな、告らさね・・・」で始まる万葉集の舞台が初瀬川、初瀬谷です。

紀鹿人は多くはわからないが、娘の紀女郎も歌人。紀氏は、もともと、紀伊国の紀ノ川下流を本拠とした古代豪族で、大和盆地の大和国平群県紀里に進出し、倭王権の外交や軍事を担いました。

撮影地のすぐ近くに脇本遺跡(雄略天皇泊瀬朝倉宮推定地)があり、白山比咩神社には「萬葉集發耀讃仰碑」があります。

2024年7月 1日 (月)

私の写真展「鉄道万葉集」その2から

今から1300年前、万葉の時代の旅は徒歩でした。その道はできるだけ勾配も緩く、そしてまっすぐに延びる古代の道でした。

鉄道の黎明期、線路を敷いた路線もなるべく緩い勾配とまっすぐなルートを選んだため、万葉の時代と重なる風景が今に伝えられています。

そんな風景の中にみる「鉄道万葉集」を追いかけてみました。

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山城久邇京(くにきょう) JR関西線 加茂駅東方

今造る 久邇の都は 山河の 清けき見れば うべ知らすらし 大伴家持 巻6-1037

(新しく作る久迩の都は、山や川の清らかさを見ると、まことにもここを都として君臨なさることと思われる)

この歌は大伴家持が、奈良の平城京から遷都されることになった山城の久邇京を褒め讃え詠んだ一首です。写真の奥が久邇京跡です。

ところが、聖武天皇は大宰府で藤原広嗣が反乱を起こしたことなどに動揺しかなり精神的に不安定になっていたようで、家持がこの歌を詠んだ翌年にはまだ完成もしていない久邇京から突如として難波宮への遷都を宣言してしまいます。

現在、関西線が通る加茂駅以東の道は当時の東海道に当たり、古代の国道一号線です。

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河内の大橋 近鉄道明寺線 柏原南口駅西方

大橋の 頭の家にあらば うら悲しく 独り行く児に 宿貸さましを 高橋虫麻呂歌集 巻9-1943

(大橋のたもとにわが家があったら、心なしか切なそうに一人で歩いていくあの子に一夜の宿を貸したいものを)

この歌は、「河内の大橋を独り行く娘子(おとめ)を見る歌一首」とする長歌の反歌です。

長歌には「紅の 赤裳裾引き 山藍もち 摺()れる衣着て ただひとり い渡らす児は」とあり、色鮮やかなスカートを穿いた乙女の様子が歌われています。

大和川は1700年頃に流れを堺方面に付け替える工事をしたので、古代の河内大橋は現在の河内橋とは違う場所に懸っていました。

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歌姫越え(うたひめごえ) 近鉄京都線 平城駅北方

佐保過ぎて 寧楽の手向けに 置く幣は 妹を目離れず 相見しめとぞ 長屋王 巻3-300

佐保を通りすぎ奈良山の峠に手向けとして置く幣は、妻にいつも逢えるようにしてくださいと祈ってのことだ。歌姫越えの道は、古代、大和国から山城国へ通ずる主要道路です。

平城宮内裏付近から北方歌姫を経て奈良丘陵の小谷を通り山城へ向かう正道で、当時の奈良坂越はこの歌姫越えの道でした。

近鉄平城駅から歩いて数分、家々の間から歌姫越えの峠を指して近鉄京都線が走ります。

ちょうど観光特急「あをによし」が大和西大寺駅を目指して通過していきました。

2024年6月30日 (日)

私の写真展「鉄道万葉集」その2から

今から1300年前、万葉の時代の旅は徒歩でした。その道はできるだけ勾配も緩く、そしてまっすぐに延びる古代の道でした。

鉄道の黎明期、線路を敷いた路線もなるべく緩い勾配とまっすぐなルートを選んだため、万葉の時代と重なる風景が今に伝えられています。

そんな風景の中にみる「鉄道万葉集」を追いかけてみました。

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二上山(ふたかみやま) 近鉄南大阪線 二上神社口-当麻寺間

うつそみの ひとなる吾や 明日よりは 二上山を 弟世とわが見む  大来皇女 巻2-165

(肉体を持つ人間である私は、弟が葬られた今、明日からはその墓のある二上山を弟として見ることになるのか)

刑死した弟の大津皇子の屍が殯宮(もがりのみや)から二上山に移し葬られた時に、姉の大来皇女が哀しみ痛み詠んだ歌です。悲運の大津皇子の墓は二上山山頂にあるとされています。

2018年の梅雨の真っ只中、二上山が見える撮影ポイントで待っていると近鉄の観光特急「青の交響曲」がやってきました。田植えが済んだ田には二上山の影が映り込んでいます。

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宇治川 (うじがわ)  JR奈良線 宇治川橋梁

もののふの 八十氏河の 網代木に いさよふ浪の 行く方知らずも 柿本人麻呂 巻3-264

(もののふの多くの人、その宇治川の網代の木に漂いつづける波のように、行く末のわからないことよ)

この歌は、柿本人麻呂が近江国から藤原京に戻って来る途中、宇治川のほとりに到ったところで詠んだ一首です。

かつて旧都であった近江京や宇治の行京への思いを馳せながら、自らの旅の身の不安な心を鎮めようとして詠んだ歌ということです。

人麻呂は「八十氏」(やそうじ)と氏河(うじがわ)の「うじ」をかけて歌っています。

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狭岑島(さみねのしま) 塩飽諸島 JR予讃線  宇多津駅  青野山展望台

沖つ波 来寄る荒礒を 敷栲の 枕とまきて  寝せる君かも 柿本人麻呂 巻2-222

(沖の波が打ち寄せる荒磯を枕にして眠っていらっしゃる君よ、実は岩の中で亡くなっている君よ)

万葉集にある柿本人麻呂の歌に讃岐の狭岑島とあるのは、現在では埋め立てによって地続きとなってしまった坂出市の沙弥島(しゃみしま)のことです。

狭岑島を含む塩飽諸島は、瀬戸大橋建設の時に土台となり、四国と本州をつなぐ役割となりました。

JR宇多津駅からタクシーを飛ばし、青野山展望台へ行き、眼下に広がる瀬戸内海の絶景を目の当たりにしました。岡山と高松をつなぐマリンライナーが写っています。

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愛川晶 落語刑事サダキチ 埋蔵金伝説と猫の恩返し 中公文庫/読了・・・・・・・一時は落語家を目指したベテラン刑事平林サダキチと新人刑事三崎優子、さらに落語界のホームズこと林家正蔵が町の事件を落語のストーリーに沿って解決していくという展開が面白いシリーズものです。今回は、猫の恩返しと死ぬなら今、反魂香、熊の皮をネタに事件が展開し、解決を見ました。

2024年6月 5日 (水)

K.G.R.鉄路写真展Vo..11「特集:関西の私鉄」 6/4

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昨日6月4日は、この日から西宮北口の西宮市立北口ギャラリーで開催が始まった関西学院大学の鉄道研究会OB会の主催による写真展「特集:関西の私鉄」を見に行きました。

コロナでの中断もありましたが、第11回を迎えました。

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会場にはA3サイズの写真がずらり並び、前半は関西の私鉄に関する作品、途中から自由テーマの作品が並んでいました。

関西の私鉄の中にはモノクロの懐かしい写真も多く展示され、それだけで一級の記録写真と言ってもよい作品もありました。

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さて、お知り合いの方の作品の中から、阪急京都線の西向日駅からの一枚。

駅の北東に連なる桜並木の紅葉を捉えています。

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もう一枚、兵庫県の明延鉱山の中を走る一円電車です。残念ながら、私は実際に走っているところを見たことはありません。

小学校5年生の時、この明延にある小学校のクラスと集団文通をしていたことを思い出しました。

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阪神と阪急、かつての両雄が並んでいます。

会場ではお知り合いの写真屋さん、自身で写真教室も主宰している友人に会いました。

いろいろと話を聞くと、なかなか的確な指摘にさすがプロの目線と感心しました。

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